琴欧洲と碧山は、引退後も日本相撲協会に残り、親方として後進を育てる道を選びました。
ただし、2人の現在の立場には大きな違いがあります。
琴欧洲は鳴戸部屋の師匠として後進を育成琴欧洲は2014年3月場所で引退した後、親方として佐渡ヶ嶽部屋に残りました。
2015年2月には15代鳴戸を襲名し、2017年4月に佐渡ヶ嶽部屋から独立。東京都墨田区に鳴戸部屋を設立しました。
ヨーロッパ出身者として初めて相撲部屋を構えた師匠という点でも、琴欧洲の存在は特別です。
鳴戸部屋の公式サイトでは、伝統的な稽古に加え、ブルガリア国立スポーツ大学や日本体育大学で学んだ知識も生かして弟子を育てる方針が紹介されています。
2026年11月現在も、日本相撲協会の公式部屋紹介で師匠は鳴戸勝紀と登録されています。
碧山は岩友親方として春日野部屋に所属碧山は2024年9月24日に引退と岩友襲名が正式に承認されました。
現在の年寄名は岩友亘右(いわとも・こうすけ)です。
所属は春日野部屋で、鳴戸親方のように独立して部屋を構えたわけではありません。春日野部屋付きの親方として、若い力士の指導や育成に携わっています。
日本相撲協会の年寄プロフィールにも、次の情報が掲載されています。
- 年寄名:岩友亘右
- 本名:古田亘右
- 出身地:ブルガリア・ヤンボル
- 所属部屋:春日野
- 旧四股名:碧山
2026年現在も岩友親方として協会に在籍しており、現役時代に培った経験を次の世代へ伝える立場にあります。
鳴戸部屋と春日野部屋の違い| 比較項目 | 鳴戸部屋 | 春日野部屋 |
|---|---|---|
| 関係する親方 | 鳴戸勝紀 | 岩友亘右 |
| 現役時代の四股名 | 琴欧洲 | 碧山 |
| 親方の立場 | 部屋の師匠 | 部屋付き親方 |
| 独立・所属 | 2017年に創設 | 春日野部屋に所属 |
| 主な役割 | 部屋全体の運営と弟子の育成 | 部屋の指導・後進育成 |
このように、琴欧洲は部屋を率いる立場、碧山は既存の部屋で指導する立場です。
両者は異なる形で相撲界に残り、ブルガリア出身力士として築いた経験を日本の伝統に還元しています。
【日本国籍取得】琴欧洲と碧山が帰化した理由とは?

外国出身力士の引退後を考えるうえで、重要になるのが日本国籍の取得です。
琴欧洲と碧山は、いずれも現役時代に日本国籍を取得しています。
その背景には、引退後も親方として日本相撲協会に残るための制度があります。
琴欧洲は2014年1月に日本国籍を取得琴欧洲の日本国籍取得が官報で告示されたのは、2014年1月7日です。
当時の報道によると、帰化前の本名はカロヤン・ステファノフ・マハリャノフでした。帰化後は安藤カロヤンとなり、親方として残るための条件を満たしました。
日本相撲協会では、年寄名跡を襲名するために日本国籍が必要とされています。
琴欧洲が現役引退後も相撲界に残り、後進を指導する道を選んだことと、日本国籍の取得には制度上のつながりがあります。
碧山は2022年3月に日本国籍を取得碧山は琴欧洲より後の2022年3月16日付で日本国籍取得が官報に告示されました。
2022年4月には、日本相撲協会が本名の変更を発表しています。
変更前はダニエル・イヴァノフ、変更後は古田亘右(ふるた・こうすけ)です。
「古田」という名字は、長年碧山を支えてきた後援者から受け継いだものと報じられています。
日本国籍取得によって、将来、年寄名跡を襲名して協会に残る資格を得ました。その2年後、実際に岩友を襲名しています。
日本国籍取得について知っておきたいポイントここで誤解しやすいのが、外国出身力士は全員が帰化しなければ現役を続けられない、という理解です。
実際には、重要なのは引退後の年寄名跡の襲名資格です。
- 現役力士として相撲を取ることと、親方になることは別の制度。
- 年寄名跡を襲名するには日本国籍が必要。
- 引退後も協会に残って指導者として活動する場合、帰化が重要な条件になる。
- 琴欧洲と碧山は現役時代に日本国籍を取得し、引退後に親方となった。
つまり、2人の帰化は単なる名前の変更ではなく、相撲界で次のキャリアを築くための大きな選択だったのです。
【よくある質問】ブルガリア出身力士に関するFAQ
Q1:2026年現在、ブルガリア出身の現役力士はいますか?
日本相撲協会の現役力士検索で出身地をブルガリアに指定すると、該当する力士は見つかりません。琴欧洲、碧山、虎来欧はいずれも引退しています。したがって、2026年11月現在、協会の現役力士登録上、ブルガリア出身の力士は確認できません。
Q2:ブルガリア出身力士で最も出世したのは誰ですか?
最も出世したのは元大関・琴欧洲です。2006年1月場所に大関へ昇進し、2008年5月場所には幕内最高優勝を達成しました。ヨーロッパ出身力士として初の大関、初の幕内優勝という記録を持っています。
Q3:碧山の最高位は何ですか?
最高位は関脇です。2014年九州場所で新関脇となり、幕内在位71場所、敢闘賞4回、技能賞1回、金星1個を記録しました。2024年9月場所を最後に現役を引退しています。
Q4:碧山はけがが原因で引退したのですか?
両膝の慢性的な痛みや故障に苦しんでいたことは事実です。ただし、引退会見では本人が、けがだけが理由ではなく、力を出し切ったという趣旨を説明しています。2024年秋場所の5勝10敗と、その後の幕下転落が見込まれた状況も引退判断に関係しました。
Q5:琴欧洲と碧山は現在も相撲界にいますか?
はい。琴欧洲は鳴戸勝紀として鳴戸部屋の師匠を務め、碧山は岩友亘右として春日野部屋付きの親方を務めています。2人とも現役を引退した後も日本相撲協会に残っています。
ブルガリア出身力士の歴史を振り返ると、琴欧洲と碧山という2人の存在が特に大きかったことが分かります。
琴欧洲は2002年11月場所に初土俵を踏み、2006年1月場所に大関へ昇進。2008年5月場所にはヨーロッパ出身力士として初めて幕内優勝を達成しました。
一方の碧山は2009年7月場所に初土俵を踏み、最高位は関脇。幕内在位71場所、敢闘賞4回という実績を残し、2024年9月に現役生活を終えました。
加えて、2人は引退後も日本相撲協会に残り、琴欧洲は鳴戸部屋、碧山は春日野部屋で後進の育成に取り組んでいます。
今回の経歴から見えてくる要点は、2人の功績が現役時代の番付や優勝回数だけでは測れないことです。
- 琴欧洲はヨーロッパ出身力士の可能性を大きく広げた先駆者。
- 碧山は幕内で長期間戦い続け、ブルガリア出身力士の存在感を維持した実力者。
- 2人は日本国籍を取得し、引退後も親方として相撲界に貢献している。
2026年現在、ブルガリア出身の現役力士は確認できません。しかし、鳴戸親方と岩友親方という形で、ブルガリア出身力士が日本の相撲界に残した足跡は今も続いています。
ブルガリア出身力士の最大の功績は、異国から来た力士が日本の伝統文化の担い手となり、次の世代を育てる立場にまで成長したことです。 その歩みは、今後の外国出身力士の活躍を考えるうえでも、重要な先例となっています。
主な参考資料:日本相撲協会公式サイト(力士プロフィール・年寄プロフィール・部屋紹介・協会からのお知らせ)、鳴戸部屋公式サイト、日刊スポーツ、スポニチ、デイリースポーツ、ベースボール・マガジン社。