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【医学解説】なぜ糖尿病で足が壊死する?切断に至る3つの主な原因

森崎 琥珀 森崎 琥珀 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
目次

糖尿病による足の切断は、血糖値が高いという理由だけで突然起こるものではありません。

重要なのは、長期間の高血糖によって神経や血管に障害が起き、さらに傷や感染症が重なることです。

このような足の合併症を総称して「糖尿病性足病変」と呼びます。

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、神経障害や末梢動脈疾患に関連する感染、潰瘍、足組織の破壊性病変として定義されています。

原因1:糖尿病性神経障害で痛みに気づかなくなる

糖尿病が長期間続くと、足先の神経が障害され、感覚が鈍くなることがあります。

その結果、次のような異常を感じにくくなります。

- 靴ずれや小さな擦り傷
- 足の指のやけど
- 水ぶくれや皮膚のひび割れ
- タコや魚の目による皮膚への圧迫

通常なら痛みを感じて靴を脱いだり、傷口を確認したりするところを、糖尿病性神経障害があると見逃してしまう場合があります。

渡部又兵衛さんのケースでは、足のやけどに気づかず、壊疽に進行したことが本人の証言から分かっています。

原因2:糖尿病による足の血流障害

2つ目は、動脈硬化などによる血流障害です。

糖尿病では足の血管が狭くなったり、詰まったりする末梢動脈疾患を合併することがあります。

血液は傷を治すために必要な酸素や栄養を運びます。その流れが悪くなると、傷口がなかなか治らなくなります。

特に注意したいのが、次のような変化です。

- 足先が冷たくなる
- 足の皮膚の色が白っぽくなる
- 指先が紫色や黒色に変色する
- 傷がなかなか治らない
- 歩くとふくらはぎや足が痛くなる

こうした症状がある場合は、末梢動脈疾患の可能性も考えられます。

原因3:感染症が悪化して足壊疽になる

3つ目は細菌感染です。

高血糖が続くと感染症に対する抵抗力が低下し、傷口から細菌が侵入して化膿することがあります。

神経障害で傷の発見が遅れ、さらに血流障害によって傷が治りにくくなると、感染が深部まで広がる危険があります。

このように足の組織が死んでしまう状態を足壊疽(あしえそ)と呼びます。

足壊疽が広範囲に及び、感染や組織の破壊を止められない場合には、命を守るために足の一部、あるいは膝下などを切断する判断が必要になることがあります。

ただし、足の変色があれば必ず切断になるわけではありません。早期に発見すれば、感染症の治療や血流の改善によって足を残せる可能性があります。

糖尿病による足病変はどれくらい多い?

日本糖尿病学会の2024年版ガイドラインには、足病変に関する疫学データも掲載されています。

- 世界の糖尿病患者における足潰瘍の有病率:約6.3%
- 北米の足潰瘍有病率:約13.0%
- 日本人の糖尿病患者における足潰瘍の割合:2007年度の調査で0.7%

また、同ガイドラインが引用する研究では、糖尿病による足切断の80~85%に足潰瘍が先行するとされています。

なお、日本の0.7%という数値は2007年度の調査に基づくもので、2026年現在の発生率を示す数字ではありません。

これらのデータが示しているのは、足の切断が突然起こるというより、傷や潰瘍を経て重症化するケースが多いということです。

【初期症状】糖尿病で足が壊死する前に現れる危険サイン

糖尿病足切断有名人

糖尿病性足病変で特に注意したいのは、初期段階では痛みがほとんどないことがある点です。

痛みがないから大丈夫と考えて放置すると、発見が遅れる可能性があります。

糖尿病性足病変の初期症状

初期に気をつけたい変化を整理すると、次のようになります。

1.足の感覚が鈍くなる

- 足先がしびれる
- 触られても感覚が分かりにくい
- 熱さや冷たさに気づきにくい
- 靴の中に小石が入っていても気づかない

2.皮膚の状態が変わる

- 皮膚が乾燥する
- かかとがひび割れる
- タコや魚の目ができる
- 水ぶくれができる
- 小さな傷が治りにくい

3.血流が悪くなる

- 足先が冷える
- 皮膚の色が変わる
- 歩行時に足が痛くなる
- 足の傷がなかなか治らない

足の壊死が進んでいる可能性がある症状

次のような症状があれば、重症化している可能性があります。

- 足の指や皮膚が黒く変色する
- 足が赤く腫れる
- 傷口から膿が出る
- 腐敗したような臭いがする
- 足先が極端に冷たくなる
- 発熱や強い倦怠感がある

特に黒色への変色、膿、急激な腫れ、発熱などは放置してはいけないサインです。痛みの有無にかかわらず、当日中に医療機関で評価を受けてください。急激に悪化している場合は救急受診が必要です。

国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターも、足の傷や赤み、腫れ、感染の兆候を放置しないよう呼びかけています。

黒くなった足は必ず切断するのか?

必ずしもそうではありません。

壊疽の範囲や感染の程度、血流の状態によって治療方法は異なります。

早期であれば、感染症の治療や血管の治療によって足を残せる可能性があります。

しかし、壊死が広範囲に及び、感染が進行している場合には、切断が必要になることもあります。

谷津さんや渡部さんの経緯を見ても、傷が悪化してからの治療には時間的な制約が生じることが分かります。

【予防と治療】糖尿病による足切断を防ぐフットケア方法7選

糖尿病による足の切断を防ぐためには、血糖管理だけでなく、毎日の足の観察と適切な治療が欠かせません。

国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターが2026年1月15日に更新したフットケア情報でも、日常的な足の手入れと早期発見の大切さが紹介されています。

1.毎日、足の状態を確認する

最も基本的な予防方法です。

毎日、足の裏、指の間、かかと、爪の周辺を確認しましょう。

見えにくい部分は鏡を利用したり、家族に確認を手伝ってもらったりする方法があります。

2.足を清潔に保つ

毎日、石けんを使って優しく洗いましょう。

洗った後は、指の間まで丁寧に水分を拭き取ります。

乾燥している部分には保湿クリームを使いますが、指の間にクリームを塗るのは避けましょう。

3.爪を深く切りすぎない

深爪は傷や感染症の原因になります。

爪の角を深く切り落とさず、まっすぐに整えることが基本です。

視力低下や神経障害がある人、巻き爪がある人は、医師やフットケアの専門家に相談してください。

4.足に合った靴を選ぶ

靴ずれを防ぐことも重要です。

- つま先に約1cmの余裕がある
- 足の幅や形に合っている
- 靴の内側に硬い縫い目がない
- クッション性がある
- 靴を履く前に内部に小石などがないか確認する

足に合わない靴を履き続けると、知らないうちに傷ができる可能性があります。

5.素足で歩かない

室内でも、できるだけ足を保護しましょう。

靴下を利用し、床の異物や家具などによるけがを防ぎます。

6.やけどを防ぐ

足の感覚が鈍くなっている人は、熱さを感じにくくなっています。

湯たんぽ、電気あんか、こたつ、使い捨てカイロなどによる低温やけどに注意が必要です。

渡部又兵衛さんの切断経緯も、やけどを放置したことが重症化につながった事例でした。

7.定期的に医療機関で足を診てもらう

自宅でのセルフケアだけでは、血流障害や神経障害を十分に判断できません。

糖尿病の定期診察では、足の感覚や血流、皮膚の状態についても確認してもらいましょう。

日本糖尿病学会の2024年ガイドラインでは、糖尿病患者の足を少なくとも年1回評価することや、足病変のリスクが高い患者には、より頻繁な観察を行うことが推奨されています。

特に、過去に潰瘍や壊疽を経験した人、神経障害や末梢動脈疾患がある人は、専門的なフットケアが重要です。

糖尿病性足病変の治療方法

すでに足に異常が出ている場合、医療機関では状態に応じて次のような治療が検討されます。

治療方法 主な目的
抗菌薬・抗真菌薬 細菌や真菌による感染症の治療
創傷処置 傷口を清潔に保ち、治癒を促す
デブリードマン 壊死した組織を取り除く
免荷 傷口に体重がかかるのを防ぐ
血行再建術 血管を広げ、足への血流を改善する
切断手術 重篤な壊疽や感染から生命を守る

治療では、糖尿病の血糖管理と足の局所治療を並行して進めることが重要です。

また、医師、看護師、皮膚科医、血管外科医などが連携するチーム医療も、足病変の重症化を防ぐうえで重要な役割を果たします。

【噂と事実】糖尿病になれば誰でも足を切断するのか?

糖尿病と足切断の関係については、誤解されやすい点もあります。

ここでは、著名人の事例と医学的な情報を踏まえて整理します。

誤解1:糖尿病になったら必ず足を切断する

これは間違いです。

糖尿病患者のすべてに足壊疽が起きるわけではありません。血糖管理、足の観察、適切な治療によってリスクを下げることができます。

誤解2:足切断は生活習慣の乱れだけが原因

これも正確ではありません。

糖尿病には遺伝的な要因や複数の病態が関係します。

谷津さんも母方に糖尿病の家族歴があったと語っています。

また、佐野慈紀さんは2024年、一部の人から不摂生を原因とする憶測を向けられたことに対し、自身のSNSで不快感を示しました。

糖尿病の重症化を本人の自己管理不足だけで説明することはできません。

誤解3:足が痛くなければ問題ない

これも危険な考え方です。

糖尿病性神経障害が進むと、傷や感染があっても痛みを感じにくくなる場合があります。

むしろ、痛みがないことを理由に受診を先延ばしにしないことが大切です。

誤解4:有名人の足切断は全員同じ病気の進み方

これも違います。

谷津さんは靴ずれや血豆、渡部さんはやけどがきっかけでした。タクヤさんについては切断に至る詳しい医学的経過が公表情報だけでは分かりません。

同じ糖尿病性足病変でも、発症のきっかけや進行速度、必要な治療は異なります。

【糖尿病足切断有名人】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:糖尿病で右足を切断した有名人は誰ですか?

A1:元プロレスラーの谷津嘉章さんです。2019年6月25日に糖尿病による右足の壊死が原因で膝下を切断しました。その後、義足でプロレスに復帰し、2026年も障がい者レスリングの普及活動を続けています。

Q2:糖尿病で左足を切断した芸能人は誰ですか?

A2:コレステロールタクヤさんと渡部又兵衛さんが知られています。タクヤさんは2021年3月、渡部さんは2004年に左足の膝下を切断しました。2人ともその後、逝去しています。

Q3:糖尿病による足の壊死は初期症状で気づけますか?

A3:早期に気づける場合があります。足のしびれ、感覚低下、皮膚の乾燥、靴ずれ、水ぶくれ、傷の治りにくさなどが注意したい変化です。毎日の観察と定期的な診察が重要です。

Q4:糖尿病による足の切断は予防できますか?

A4:すべての切断を防げるわけではありませんが、血糖管理、禁煙、足の毎日の観察、適切な靴選び、早期の感染症治療などによってリスクを減らせます。足に異常があれば早めに医療機関を受診してください。

2026年現在、糖尿病による足切断を経験した著名人として確認できるのは、谷津嘉章さん、コレステロールタクヤさん、渡部又兵衛さんなどです。また、佐野慈紀さんも糖尿病に関連する足の指の切断を経験しています。

それぞれの経緯を振り返ると、靴ずれ、血豆、やけどといった、日常生活で起こり得る小さな傷が重症化する危険性が見えてきます。

特に重要なのは、次の3点です。

1. 足の異常を見逃さないこと。 痛みがなくても毎日確認する。
2. 血糖値と血流を管理すること。 糖尿病の定期診察を継続する。
3. 傷や感染症を放置しないこと。 小さな異常でも早期に医療機関へ相談する。

谷津さんが義足で新たな競技の普及に取り組んでいる姿は、足を失った後にも新しい目標を持って生活できることを伝えています。一方、タクヤさんや渡部さんの闘病歴は、糖尿病の合併症が生活に及ぼす影響の大きさを物語っています。

【プロの結論】糖尿病による足切断を防ぐ最大の要点は、壊疽になってから治療することではなく、傷ができる前から足を守り、異常が小さいうちに治療することです。

糖尿病と診断されている人は、血糖値の数字だけでなく、毎日の足の状態にも目を向けることが大切です。

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トレンドリサーチャー 森崎 琥珀
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調理師免許を持ちフードライターへ。栄養価は公的食品データベース、調理法はメーカー公式表記で裏取りし、旬の情報は市場入荷記録を参照します。

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