2026年のメジャーリーグ(MLB)レギュラーシーズンが終了し、投手の実力を示す重要な指標「防御率(ERA)」のランキングが明らかになった。今季の防御率ランキングで頂点に立ったのは、ミルウォーキー・ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー。防御率は驚異の1.80を記録した。2位にはヤンキースのカム・シュリットラーが1.95で続き、上位には実績あるベテランと新世代の剛腕が並んでいる。
日本人投手では、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸が防御率2.53でメジャー全体5位にランクイン。一方、打者としても活躍する大谷翔平は防御率1.79という優秀な数字を残したものの、投球回数が規定に届いていない。ランキングの順位だけでは見えてこない投手の実力差や、規定投球回の仕組み、WHIP・FIP・ERA+との違いも押さえておきたい。
【2026年最新】メジャーリーグ防御率ランキングTOP10!首位はミジオロウスキー
2026年のMLB防御率ランキングは、若手右腕ジェイコブ・ミジオロウスキーの独走が大きな話題となった。MLB公式成績のレギュラーシーズン記録を基準に、規定投球回に到達した投手を比較すると、上位10人は次のとおりだ。
対象:2026年MLBレギュラーシーズン/規定投球回到達投手/防御率の低い順
ジェイコブ・ミジオロウスキー1.80
ミルウォーキー・ブルワーズ/174.2回
カム・シュリットラー1.95
ニューヨーク・ヤンキース/193.2回
クリス・セール2.16
アトランタ・ブレーブス/162.2回
ディラン・シース2.40
トロント・ブルージェイズ/169.0回
山本由伸2.53
ロサンゼルス・ドジャース/185.0回
続く6位から10位は次の顔ぶれとなった。
1. 6位:パーカー・メシック(クリーブランド・ガーディアンズ)2.56
2. 7位:ドリュー・ラスムッセン(タンパベイ・レイズ)2.67
3. 8位:ソニー・グレイ(ボストン・レッドソックス)2.72
4. 9位:ヘスス・ルザルド(フィラデルフィア・フィリーズ)2.86
5. 10位:エドゥアルド・ロドリゲス(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)2.89
これらはMLB公式の2026年レギュラーシーズン投手成績に掲載された数値であり、ポストシーズンの成績とは区別している。公式ランキングでは防御率のような率の指標を並べ替える際、規定に達していない投手は初期設定で表示対象から外れる。
【上位5人を徹底比較】防御率・WHIP・FIP・ERA+で見える実力差
防御率の順位だけを見ればミジオロウスキーが圧倒的だが、投手の評価には被安打、与四球、奪三振、球場環境なども関係する。
そこで、2026年の上位5人について、防御率に加えてWHIP、FIP、ERA+を比較する。各指標を組み合わせることで、失点を防ぐ能力と投球内容の両面を把握できる。
出典:MLB公式レギュラーシーズン成績、Baseball-Referenceの2026年投手成績。FIP・ERA+は各データベースの集計値。
1位・ミジオロウスキー:圧倒的な奪三振能力と安定感
ジェイコブ・ミジオロウスキー1.80
16勝5敗/174.2回/252奪三振
ミジオロウスキーの2026年を象徴するのは、失点の少なさだけではない。30試合すべてに先発し、174.2イニングを消化しながら252奪三振を記録した。
WHIPは0.80。1イニング当たりに許した安打と四球の合計が極めて少なく、打者に出塁の機会をほとんど与えなかったことが分かる。FIPも2.17、ERA+は232と、異なる評価指標でもトップクラスの数字を残している。
防御率1.80という結果が単なる偶然ではなく、奪三振能力と出塁を抑える能力の両方に支えられていたことが、これらの数字から読み取れる。
2位・シュリットラー:193.2イニングを投げ抜いた新鋭
カム・シュリットラー1.95
14勝6敗/193.2回/239奪三振
2位のシュリットラーは、防御率1.95という数字に加えて、193.2イニングを投げた点が際立つ。上位5人の中でも投球回数が最も多く、シーズンを通して先発ローテーションを支えた。
WHIPは0.92、ERA+は215。奪三振は239を数え、与四球も49に抑えた。単発の好投ではなく、長いシーズンを通じて安定した投球を続けたことが評価できる。
3位・クリス・セール:ベテラン左腕の健在ぶり
クリス・セール2.16
14勝9敗/162.2回/200奪三振
アトランタ・ブレーブスのクリス・セールは、上位5人で唯一のベテラン左腕として存在感を示した。防御率2.16、200奪三振、WHIP0.98という数字は、打者を圧倒する能力が依然として高い水準にあることを示している。
注目したいのはFIPが2.29であることだ。防御率2.16との差が比較的小さく、奪三振や四球、被本塁打といった投手自身の結果から見ても、優れた投球内容だったことがうかがえる。
4位・ディラン・シース:奪三振力と課題のバランス
ディラン・シース2.40
11勝6敗/169.0回/239奪三振
ディラン・シースは239奪三振を記録し、シュリットラーと並ぶ高い奪三振能力を見せた。一方で、与四球は78個と上位5人では最も多い。
WHIPは1.10。防御率ランキング4位という好成績を残した一方、走者を出す頻度という面では、上位3人や山本由伸との差が見られる。制球の安定性が今後の評価を左右するポイントになる。
5位・山本由伸:防御率2.53とWHIP0.87の価値
山本由伸2.53
14勝9敗/185.0回/182奪三振
山本由伸は、185イニングを投げて防御率2.53を記録した。リーグ全体で5位という順位は、日本人先発投手として非常に高い評価につながる。
さらに注目したいのがWHIP0.87だ。防御率ではミジオロウスキーに差をつけられたものの、走者を出さない能力を示すWHIPでは、ミジオロウスキーの0.80に次ぐ優秀な数値となっている。
一方、FIPは3.33で、防御率との差が0.80ある。2026年は被本塁打20本を記録しており、被本塁打などを重視するFIPでは防御率ほど高い評価にならなかった。これは山本の投球が悪かったという意味ではなく、指標によって評価対象が異なることを示す好例だ。
【規定投球回とは?】防御率の計算方法とランキング対象になる条件
メジャーの防御率ランキングを正しく読むためには、「規定投球回」の理解が欠かせない。防御率がどれほど低くても、一定の投球回数に達していなければ、公式の個人タイトルや規定到達者のランキングには含まれない。
規定投球回は162イニングが基本MLB公式の規定では、防御率の個人タイトルを争う投手は、原則としてリーグの予定試合数1試合につき1イニングを投げる必要がある。
MLBの通常のレギュラーシーズンは各チーム162試合制。そのため、2026年の規定投球回は162イニングとなる。
ここで重要なのは、実際にチームが消化した試合数ではなく、予定されていた試合数が基準になることだ。また、投手の規定到達には打者の規定打席のような不足分を補う特例は設けられていない。
防御率の計算方法防御率は英語でERA(Earned Run Average)と呼ばれ、投手が9イニング当たりに何点の自責点を許したかを示す指標だ。
防御率の計算式
山本由伸の2026年成績で計算
自責点52、投球回185イニング。小数第3位を四捨五入。
例えば、9イニングを投げて自責点が2点なら、防御率は2.00となる。自責点は失策などによる失点を除いて計算するため、実際の失点と防御率の計算に使う点数は必ずしも一致しない。
また、投球回数の表記にも注意したい。MLBの「174.2」は小数の174.2イニングではなく、174イニングと3分の2を意味する。「174.1」は174イニングと3分の1だ。計算する際に174.2をそのまま小数として扱うと、正確な結果にならない。
規定未到達でも優秀な防御率を記録する投手がいる2026年のランキングで特に注目したいのが大谷翔平だ。MLB公式選手成績によると、2026年のレギュラーシーズンは14試合に先発し、8勝2敗、防御率1.79、85.2イニング、95奪三振を記録した。
数字だけを見れば、ミジオロウスキーの1.80を上回っている。しかし、投球回数は規定の162イニングに対して85.2イニング。したがって、規定到達者を対象とする防御率ランキングでは1位にならない。
この違いはランキングを読むうえで非常に重要だ。防御率1.79という成績自体は素晴らしいが、85.2イニングの数字と174.2イニングを投げた投手の数字を、同じ条件の記録として扱うことはできない。
【日本人メジャーリーガーの防御率】山本由伸・大谷翔平・今永昇太を比較
2026年は日本人投手の成績にも明確な違いが表れた。山本由伸がMLB全体のトップ5に入り、大谷翔平も短い投球回数ながら1点台の防御率を記録。一方、先発ローテーションを担った今永昇太や佐々木朗希らは、それぞれ異なるシーズンを過ごした。
山本由伸|ドジャース2.53
14勝9敗・185回・182奪三振・WHIP0.87
日本人投手の2026年を代表する成績。投球回数と防御率の両面で高い安定感を示した。
大谷翔平|ドジャース1.79
8勝2敗・85.2回・95奪三振・WHIP0.95
防御率は山本を上回る1点台。ただし、投球回数は85.2回で、規定投球回には届かなかった。
今永昇太|カブス3.77
11勝10敗・174.1回・174奪三振・WHIP1.10
規定投球回をクリア。32試合に先発し、シーズンを通じた投球機会を確保した。
佐々木朗希|ドジャース4.49
5勝5敗・122.1回・123奪三振・WHIP1.32
26試合に登板。122.1イニングで、規定投球回には到達しなかった。
千賀滉大|メッツ7.14
0勝9敗・58.0回・68奪三振・WHIP1.60
投球回数が限られ、防御率の面でも苦しいシーズンとなった。
菊池雄星|エンゼルス4.92
1勝7敗・67.2回・67奪三振・WHIP1.54
14試合に登板。今季の数字では上位争いから離れる結果となった。
出典:MLB公式選手成績、Baseball Savant。いずれも2026年レギュラーシーズン。
日本人投手の中で山本由伸が際立つ理由日本人投手の成績を比較すると、山本由伸の強みは単純な防御率の低さだけではない。185イニングを投げながらWHIP0.87を記録し、被安打と四球を合わせた出塁を抑えている。
一方、大谷翔平は防御率1.79という山本以上の数字を残した。規定投球回に届かなかったため公式の防御率タイトル争いには参加できないが、14試合の先発で85.2イニングを投げた点は評価に値する。
今永昇太も174.1イニングを投げて規定をクリアしており、シーズンを通じた稼働という面では重要な実績を残した。防御率3.77は山本には及ばないものの、長いシーズンを支える先発投手としての役割を果たした。
日本人投手の2026年を評価する際には、山本のトップ5入り、大谷の短いイニングでの好成績、今永の規定到達という3つの異なる成果を分けて見ることが大切だ。
【防御率だけでは分からない】WHIP・FIP・ERA+の正しい見方と歴代記録
MLB投手成績を詳しく調べると、防御率のほかにWHIP、FIP、ERA+といった指標が頻繁に登場する。これらはそれぞれ異なる観点から投手を評価するための数字だ。
WHIP:どれだけ走者を出さなかったかWHIPは、投手が1イニング当たりに許した安打と四球の合計を表す指標だ。
計算式:WHIP=(被安打+与四球)÷投球回
例えば、WHIP0.80なら、1イニング当たり平均0.80人の安打・四球による走者を許した計算になる。一般に数値が低いほど、打者を出塁させない能力が高い。
2026年はミジオロウスキーが0.80、山本由伸が0.87を記録した。山本が防御率では5位でありながらWHIPでは首位に迫る数字を残した点は、投球内容を理解するうえで重要だ。
FIP:守備の影響をできるだけ切り離す指標FIPはFielding Independent Pitchingの略称で、投手が直接関与しやすい結果に着目した指標だ。
主に被本塁打、与四球、死球、奪三振を使い、守備の影響を受ける部分をできるだけ切り離して評価する。基本的な計算式は次のとおり。
\[
FIP=\frac{13HR+3(BB+HBP)-2K}{IP}+C
\]
HRは被本塁打、BBは与四球、HBPは死球、Kは奪三振、Cはリーグごとに設定される定数だ。
2026年の上位投手では、ミジオロウスキーのFIPは2.17、セールは2.29。山本由伸は3.33だった。
防御率とFIPに差が生じる理由には、被本塁打や奪三振、四球のバランスに加え、守備や打球の処理結果などがある。FIPが防御率より高いからといって、必ずしも成績が悪化するとは限らない。あくまで異なる角度から投球内容を分析する材料だ。
ERA+:リーグ平均と球場環境を考慮した評価ERA+は、リーグ平均の防御率や球場環境を考慮して投手を評価する指標だ。平均を100とし、数字が高いほど平均より優れた防御率を残していることを意味する。
2026年の上位5人では、ミジオロウスキーが232、シュリットラーが215、セールが196、シースが184、山本由伸が167だった。
ERA+が232という数字は、単に防御率1.80という数字だけを見るよりも、リーグ平均との比較でミジオロウスキーがどれほど優れた成績を残したかを理解しやすい。
特に球場ごとに本塁打の出やすさや得点環境が異なるMLBでは、ERA+のような補正指標を併用することに意味がある。
歴代メジャーリーグの最優秀防御率記録
ティム・キーフ(1880年)0.86
MLB歴代シーズン最低防御率記録
トロイ・トロージャンズ/105.0イニング
MLB公式の歴代シーズン防御率ランキングでは、1880年のティム・キーフが記録した0.86が歴代最低の数字として掲載されている。
ただし、1880年は現在とは試合数や投手を取り巻く環境が異なる時代だ。現代の投手成績と単純に比較することはできない。
ボブ・ギブソン(1968年)1.12
ライブボール時代の最低防御率記録
セントルイス・カージナルス/304.2イニング
1920年以降のライブボール時代に限れば、ボブ・ギブソンが1968年に記録した1.12が歴史的な基準となる。
ギブソンは1968年に22勝9敗、304.2イニング、268奪三振を記録した。13完封という数字も残しており、長いイニングを投げながら相手打線を封じ込めた圧倒的なシーズンだった。
この歴史的な投手成績は、打者と投手のバランスを調整するための1969年の投手板・マウンドの高さ引き下げなど、ルール変更の背景にもなった。
【メジャー防御率ランキング】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のメジャーリーグ防御率ランキング1位は誰ですか?
2026年の規定投球回到達者の1位は、ミルウォーキー・ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーです。防御率1.80、16勝5敗、174.2イニング、252奪三振を記録しました。
Q2:2026年の山本由伸の防御率と順位は?
山本由伸は防御率2.53でMLB全体5位です。14勝9敗、185イニング、182奪三振、WHIP0.87を記録しました。
Q3:大谷翔平の防御率1.79はランキング1位ではないのですか?
大谷翔平の2026年レギュラーシーズンの防御率は1.79です。ただし、85.2イニングしか投げておらず、規定投球回の162イニングに届いていません。そのため、規定到達者を対象とする公式防御率ランキングには含まれません。
Q4:MLBの規定投球回は何イニングですか?
通常の162試合制のシーズンでは162イニングです。原則として、リーグの予定試合数1試合につき1イニングを投げることが条件になります。
Q5:防御率とWHIPはどちらを重視すればよいですか?
失点を防ぐ結果を知りたいなら防御率、安打と四球による出塁をどれだけ抑えたかを知りたいならWHIPを確認します。両方を組み合わせると投手の特徴が分かりやすくなります。
Q6:防御率の歴代MLB最低記録は何点ですか?
MLB公式の歴代シーズン記録では、ティム・キーフが1880年に記録した0.86が最低です。一方、1920年以降のライブボール時代では、ボブ・ギブソンの1968年の1.12が最低記録です。
2026年のメジャーリーグ防御率ランキングでは、ジェイコブ・ミジオロウスキーが1.80で規定到達投手のトップに立った。252奪三振、WHIP0.80、ERA+232という数字も、その圧倒的な投球内容を裏付けている。
日本人投手では山本由伸が2.53で全体5位に入り、185イニングを投げ抜いた。大谷翔平も1.79という優れた防御率を残しており、規定投球回には届かなかったものの、投手としての存在感を示した。
2026年の成績を評価するうえで押さえておきたい判断基準は次の3つだ。
- 防御率: 9イニング当たりの自責点から失点を防ぐ結果を見る。
- 規定投球回: 162イニングを基準に、シーズンを通じた実績を比較する。
- WHIP・FIP・ERA+: 出塁を抑える能力、投球内容、リーグや球場環境を考慮した実力を確認する。
防御率の順位は投手の実力を知るための重要な入口だが、数字を一つだけ見て評価を決めるべきではない。投球回数、WHIP、FIP、ERA+まで確認すれば、ミジオロウスキーの強さや山本由伸の安定感、大谷翔平の特殊な立ち位置まで、2026年のMLB投手陣の全体像がより鮮明になる。
2027年シーズンに向けて、ミジオロウスキーがこの支配力を維持できるのか、山本由伸がさらに順位を上げられるのか。そして大谷翔平が規定投球回に到達する投手として再び防御率タイトル争いに加わるのか。次のシーズンも、日本人ファンにとって見逃せないポイントとなる。